アマチュア無線通信教育史

夏休みの自由研究,アマチュア無線家養成の通信教育史.

かれこれ過去十年ほど

『噂のハムライフ情報局』
http://www.hamlife.info/

で,“順次掲載予定のコンテンツ”として完全放置されているテーマの

『●「ハムになろう!!」通信教育も花盛り!!(ラジオ教育研究所/CQアマ無線普及会/無線従事者教育協会)』

に挑んでみました.
まずは判ったところまでをまとめますと,下図のようになりました:

以下,団体ごとに順をおって説明します.

■(財)無線従事者教育協会


同会のように「文部省認定」のコースであれば,告示されていますから,官報を検索するとヒットします.
ですので,わりと調べやすいです.

●いつから?
1961(S36)年に開始しています:

同会の所在地は,下目黒→巣鴨→晴海→巣鴨と,電波的な聖地を巡っています.
晴海時代(1982~1992年)には,『(財)無線従事者国家試験センター』(ただしのちに『(財)日本無線協会』,1990.4.1付)と『CQショールーム』と同じビルにいました――と,1986年時点の広告に記されています.

おなじくそのころの広告によりますと,
電話級標準コースの養成課程講習会が,
・13,000円(36時間) または
・19,000円(22時間,1986(S61).4.1切替)
という時代において,同会の通信教育は
・11,500円
でした.
また,電信アマ・二アマのコースも持っているのがウリでした.

●いつまで?
その後,1999(H11)年1月14日に郵政大臣の許可を受け解散.
解散広告が1999年1月28日・1月29日・2月1日の3回出されています(3回目の例):

コース自体は,実質的にはもうすこし早く締められていたかもしれません.
冒頭の図では解散の日まで としました.

■(財)ラジオ教育研究所 ~ (財)電子技術教育協会


●いつから?
アマチュアむけのコースが始まったのは1971(S46)年です:

しかし広告に“認定第一号”と謳われていたとおり,通信教育を手がける団体としての歴史は古い(最古)です.
冒頭の図のとおり,1948(S23)年からコースを手がけています.まずは「ラジオ工学」からでした.

●いつまで?
“文部省認定”ともなりますと,始めるときはもとより,終えようとするときにもチェックが入ります.
廃止を申し出たときの言い分を以下のURLで見つけました:

中央教育審議会生涯学習分科会(第33回)会議次第の『(財)電子技術教育協会』
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo2/siryou/04063001/005/004.htm

「受講者の推移」が載っていて参考になりますので抜粋します:

年度平成6平成7平成8平成9平成10平成11平成12平成13平成14平成15
受講者数1,4731,5261,1348355885154133582700

ですので,実質は2002(H14)年に終了しています.
ただし冒頭の図では,廃止が認められた2004(H16)年としました:

ところで,Wikipediaの『ユーキャン』
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A6%E3%83%BC%E3%82%AD%E3%83%A3%E3%83%B3#.E6.B2.BF.E9.9D.A9.5B1.5D
では,設立時期について,電気学会電気技術史研究会資料(HEE-98-7)『ラジオ教育研究所の足跡』(高田稔) を参照し,
「1947年12月、財団法人ラジオ教育研究所(略称ラ研)設立」
としています.
しかし本稿では,上述の中教審のURLにある 「法人設立年月日 昭和23年1月27日」 を優先して採用しました.

所在地は,池袋→下落合→西荻北→荻窪→高田馬場と移っています.
1984(S59)年に名称を変更.
さらに以下のwebによりますと,同会はその後,『(株)日本通信教育連盟』を経て,かの有名な『(株)ユーキャン』となっています(2006.6.1付でユーキャン).

前田行政書士事務所の『事務所の要目』
http://www.hmgyo.com/jm.html


■CQアマチュア無線普及会


このコースは文部省認定ではありませんでした.

だからダメ...というワケでは必ずしもなく,「文部省認定でない」ことの損得は,以下のような点でしょう:
・Cons……郵便料金が割引にならない; コースの信頼性がいまひとつ.
・Pros……同会のように期間2ヶ月のコースが設定可能.
     ∵文部省の認定を受けるためには,6ヶ月以上の期間であることが必要.

...ともかく,残された手としては雑誌広告から調べるしかありません.
国会図書館で『初歩のラジオ』誌と格闘してきました.

●いつから?
あらかじめインターネット検索でアタリをつけてみますと,1969年にはすでに存在していたことが判ります:

『[漫画][古雑誌]1969年の週刊少年マガジンはこんな感じ その3 他社広告、漫画に侵食していた記事など』
http://d.hatena.ne.jp/soorce/20081016

電話アマが生まれたのは1958年ですから,1958~1969年の間をつついて追い込んでいくことにします.
すると...1967年3月号で広告が初出でした.
ですので「1967(S42)年から」と言えます.

●いつまで?
これも検索しますと,
1985年6月に誠文堂新光社から同会の編集による以下の2冊が発行されていることが判ります:

(1) 『初級アマチュア無線テキスト』
(2) 『なっとく!これだけやれば絶対合格 電話級アマ国試、無線工学必勝のポイント77』

つまり,「1985年6月までは存在した」ことがあらかじめ判ります.

したがい,これ以降をつついて探します....が,失敗orz.
気を取り直して逆行検索をかけますと...

・1984年8月号……広告あり
・1984年9月号……誤って「1983年9月号」が合本されているorz.
・1984年10月号……広告なし

という結果に至りました.
「初ラ1984年9月号」が確認できていませんが,いずれにせよ「1984(S59)年まで」であることは追い込めました.

上述の(2)の本は,1983年9月号で確認できる,広告で表紙だけチラ見せしている 『合格トラの巻(ポイント77)』 の焼き直しでしょう.
表紙もタイトルも似ています.

...まとめますと,同会は1967年から続けてきた通信教育を1984年に終了.
蓄えてきたアセットを1985(S60)年に誠文堂新光社から出版し,広く放出.
いま流にかっこよく言えば,バーティカルからホリゾンタルにビジネスモデルを変えた――印税生活にシフト――ということになります.

冒頭の図では,通信教育の終了時期を採用し「1984(S59)年まで」としました.
その後,1985年6月に出版で一区切りつけたのち,同会がいつ店じまいしたのか?は,不明です.

また,このとき同時に,

(3) 『電信級〈モールス〉合格虎の巻カセット』

も発売しているのがわかりました.
日付まで追い込めて,(1)~(3)とも1985年6月10日の発売です.
電話アマがあれば1分の受信だけで電信アマになれる――という触れ込みでした.
∵1985(S60).1.1施行で,電話アマの所持者は,電信アマ受験時の法規・無線工学が免除になりました〔S59郵政省令50〕.

ところで,同会の広告でおなじみのJA1ZEAですが,コールブック(1978年版)を紐解きますと,クラブQRAは『日本電子科学ハムクラブ』,クラブQTHは「日本電子科学普及協会内」となっています.
どうやら“姉妹普及(協)会”があったようです.
クラブの代表者は,これまた初期の広告に「本会指導部員」としてコールが出ていたJA1ZFこと,竹内OMです.


■アマチュア無線協会


...というのも見つけてしまいました.
『短波』で唯一手元に残した1981年3月号――英文受信報告用例集を掲載――のp.83に広告が載っています(下の写真の右; 左は前項のCQアマチュア無線普及会):

今回は閉館~時間切れにつき調査を断念!(QTC ALL: 情報いただければありがたいです.)
“姉妹協会”の『ラジオ技術協会』――広告の下半分――との同居です.


■(株)キューシーキュー企画


現時点,唯一のアマチュアむけの通信教育です.
一アマ・二アマむけのコースがあります.
言い換えれば...三アマ・四アマむけはありません.
...それは「養成課程講習会」でカバーしている――と言うことですね.

●いつから?
同社のwebによりますと,「2001年10月から通信教育を始めた」ことになっています.
しかし,当初からアマチュアむけのコースがあったとは言い切れません.
そこで,Google 先生にお訊きしてみたところ――

『(株)キューシーキュー企画「アマチュア無線技士通信教育(講座)」』
http://jh3ykv.rgr.jp/mt/2007/12/post_709.html

――という記事がヒットしました(2007.12.4付).
これによって,「アマチュアむけのコースができたのは2007年から」と掴めます.

価格(当時)も触れられていますので抜粋します:
・一アマ……入会金:1,000円,フルコース:21,000円,学科のみ:17,000円
・二アマ……入会金:1,000円,フルコース:18,000円,学科のみ:15,000円


さて,
自由研究もいいですが,すこしは選挙活動もしないとなりません.

JARLの臨時社員選挙に立候補させていただいています.
理念などは別途お目にかけます.
よろしくお願いいたします.

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