パブコメ募集:社会貢献活動への活用・小中学生の体験機会の拡大

パブコメの募集がかかりました:

『電波法施行規則の一部を改正する省令案等に係る意見募集
 -アマチュア無線の社会貢献活動での活用、小中学生のアマチュア無線の体験機会の拡大-』
https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kiban14_02000473.html

...まずは,例によって“縦”に絵解きします.


法令改正のスキーム

(1) アマチュア無線の社会貢献活動での活用

黒矢印が改正点です.新たに告示を伴います.
20201015amateur-service.jpg
これまでグレイだった,「マラソン大会の運営支援」「害獣の駆除」などでの利用が可能になります.
条文上は,「社会貢献のため」「公共団体による実施なら」という定義になります.

(2) 小中学生のアマチュア無線の体験機会の拡大

同.
20201015experience.jpg
ようは,無資格者が操作するには――
・従来 … 専用の局の立ち上げが必要:
     ARISS局・体験局(体験局は年齢制限なし)
・今後 … くわえて,家庭内・学校内で可
    (家族・教職員の個人局が前提;通学する学校の社団局も可)

...この新告示に巻き取られて,つい4月に公布~施行されたばかりの「体験局」の告示は,早くもお役御免に.短命に終わることになります.
ARISSスクールコンタクトの臨時局の告示も,巻き取られてなくなります.

以上,詳細は末尾.



前回のパブコメ募集の結果

結果が発表されています:

『無線従事者規則の一部を改正する省令案に係る電波監理審議会からの答申及び意見募集の結果』
https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kiban09_02000380.html

その内容は――
無線従事者が常に最新の知識や技術の習得に努めることに関する規定を新規に追加
――というもので,意見提出は,
・JARD … あり
・JARL … なし (ネット上では,「能力がない」のだから仕方ない――といった見解も)
となりました.
私の意見は42番です(賛成).

まずは『モールス電信技能認定』を,このカリキュラム(?)の一環として正式に位置づける――という策はいかがでしょう?



以下,法令案の読み解き

無線局根本的基準

●用語の意義(2条):
五 「簡易無線業務用無線局」とは、簡易な無線通信業務であつて、かつ、アマチユア業務に該当しない業務を行うために開設する無線局をいう。
  
五 「簡易無線業務用無線局」とは、簡易な無線通信業務を行うために開設する無線局をいう。

これまでは,「簡易な無線通信業務」を「アマチユア業務に該当しない業務」と定義していました.
それが外れます.
これすなわち,「今後のアマチユア業務には,簡易な無線通信業務を含むから」――という意図なのでしょうか?

施行規則

●業務の分類及び定義(3条):
十五 アマチユア業務 金銭上の利益のためでなく、もつぱら個人的な無線技術の興味によつて行う自己訓練、通信及び技術的研究の業務をいう。

十六 簡易無線業務 簡易な無線通信業務であつて前号に該当しないものをいう。
  
十五 アマチユア業務 金銭上の利益のためでなく、もつぱら個人的な無線技術の興味によつて行う自己訓練、通信及び技術的研究その他総務大臣が別に告示する業務を行う無線通信業務をいう。

十六 簡易無線業務 簡易な業務のために行われる無線通信業務をいう。

「十五」は,遙か昔の受検時に丸暗記した懐かしい条文ですが,それが変わろうとしています.
「告示分の業務も含む」旨の改正です.


●無線局の種別及び定義(4条):
二十四 アマチユア局 金銭上の利益のためでなく、専ら個人的な無線技術の興味によつて自己訓練、通信及び技術的研究の業務を行う無線局をいう。
  
二十四 アマチユア局 アマチュア業務を行う無線局をいう。

さらりと前条――「アマチュア業務」を定義した3条――を参照することとなり,シンプル化されます.


●アマチュア局の無線設備の操作の特例(34-10条):
第三十四条の十 法第三十九条の十三ただし書の総務省令で定める場合は、臨時に開設するアマチュア局の無線設備の操作をその操作ができる資格を有する無線従事者の指揮の下に行う場合であつて、総務大臣が別に告示する条件に適合するときとする。
  
第三十四条の十 法第三十九条の十三ただし書の総務省令で定める場合は、
次の各号に掲げる場合であつて、当該各号に応じて総務大臣が別に告示する条件に適合するときとする。

一 臨時に開設するアマチュア局の無線設備の操作をその操作ができる資格を有する無線従事者の指揮の下に、当該無線設備の操作を行う場合

二 家庭内その他これに準ずる限られた範囲内においてアマチュア局の無線設備の操作をその操作ができる資格を有する無線従事者の指揮の下に、当該無線設備の操作を行う場合

「一」は,既存のARISS局・体験局の継承です.
「二」が,新規に導入される「小中学生による家庭等・学校でのリグの操作」のキモとなる条文です.

特定周波数変更対策業務及び特定周波数終了対策業務に関する規則

●無線局の目的(3条):
三 簡易無線通信業務用 簡易な無線通信業務を行うことを目的として開設するもの
(次号に掲げる範囲の無線局に該当するものを除く。)であること。

四 アマチュア業務用 金銭上の利益のためでなく、専ら個人的な無線技術の興味によって行
う自己訓練、通信及び技術的研究の業務を行うことを目的として開設するものであること。

六 短波放送用 短波放送(電波法施行規則(昭和二十五年電波監理委員会規則第十四号)第二条第一項第二十四号の二に規定するものをいう。)を行うことを目的として開設するもの(第一号に掲げる範囲の無線局に該当するものを除く。)であること。
  
三 簡易無線通信業務用 簡易な無線通信業務を行うことを目的として開設するものであること。

四 アマチュア業務用 アマチュア業務(電波法施行規則(昭和二十五年電波監理委員会規則第十四号)第三条第一項第十五号に規定するアマチュア業務をいう。)を行うことを目的として開設するものであること。

六 短波放送用 短波放送(電波法施行規則第二条第一項第二十四号の二に規定するものをい
う。)を行うことを目的として開設するもの(第一号に掲げる範囲の無線局に該当するものを除く。)であること。

『抄録』に含まれていない,縁遠い省令ですが,ここにも“定義”がありますので,改正が波及します.

本省令のアマチュアへの適用例はないはずです.
(「パーソナル無線」とは異なり,)2001年の本省令の施行以降,ケータイ・スマホにバンドを明け渡して“立ち退き”を求められたことはありませんので.
1200MHzにおけるレピータの「1W化」と「運用調整」は,対象外で含まれません(もともと二次分配の弱い立場です).

本省令のありか:
https://www.tele.soumu.go.jp/horei/reiki_honbun/72aa2611001.html

電波法施行規則の規定により総務大臣が別に告示する業務を定める告示案【新設】

“社会貢献”の定義です:
○総務省告示第 号

電波法施行規則(昭和二十五年電波監理委員会規則第十四号)第三条第一項第十五号の規定に基づき、総務大臣が別に告示する業務を次のように定める。

令和 年 月 日
総務大臣 武田良太

電波法施行規則第三条第一項第十五号に規定する、金銭上の利益のためでなく、もっぱら個人的な無線技術の興味によって行う総務大臣が別に告示する業務は、次の各号に掲げる業務とする。

一 特定非営利活動促進法(平成十年法律第七号)第二条第一項に定める特定非営利活動に該当する活動その他の社会貢献活動のために行う業務

二 国又は地方公共団体その他の公共団体が実施する事業に係る活動(これらに協力するものを含む。)であって、地域における活動又は当該活動を支援するために行うものであり、かつ、金銭上の利益を目的とする活動以外の活動のために行う業務

附則
この告示は、公布の日から施行する。

利用例は,『概要』をあらわした資料
『アマチュア無線の社会貢献活動での活用及び小中学生のアマチュア無線の体験機会の拡大(案) -アマチュア無線を身近な活動へ』
https://www.soumu.go.jp/main_content/000712092.pdf
の,p.2(PDFのページでは3/7)が,判りやすいです.

周波数割当計画

改正点:
第1 総則

2 この計画において法第 26 条第 2 項第 2 号に規定する無線局の目的は、次の表の左欄
に掲げるとおり区分し、それぞれ同表の右欄に掲げる範囲の無線局が該当するものと
する。
無線局の目的無線局の範囲
簡易無線通信業務用簡易な無線通信業務であって、かつ、アマチュア業務に該当しない業務を行うことを目的として開設するものであること。
アマチュア業務用金銭上の利益のためでなく、専ら個人的な無線技術の興味によって行う自己訓練、通信及び技術的研究の業務その他総務大臣が別に告示する業務(令和●年総務省告示第●号に定める業務をいう。)を行うことを目的として開設するものであること。

ここにも“定義”がありますので,改正が波及します.

電波法関係審査基準

改正点:
別表2(第3条関係)
 無線局の目的、免許の主体及び開設の理由並びに通信事項
無線局の目的免許の主体及び開設の理由通信事項
アマチュア業務用89個人又は社団が、金銭上の利益のためでなく、専ら個人的な無線技術の興味によって行う自己訓練、通信及び技術的研究その他令和●年総務省告示第●号に定める業務に必要な通信(アマチュア人工衛星の追跡管制を行う通信を除く。)を行うために開設するものであること。アマチュア業務に関する事項
 90個人又は社団が、金銭上の利益のためでなく、専ら個人的な無線技術の興味によって行う自己訓練、通信及び技術的研究その他令和●年総務省告示第●号に定める業務に必要な通信(アマチュア人工衛星の追跡管制を行う通信に限る。)を行うために開設するものであること。アマチュア業務(人工衛星追跡管制)に関する事項

おなじく“定義”がありますので,改正.

電波法施行規則の規定によりアマチュア局の無線設備の操作を行う場合の条件を定める告示案【新規】

小中学生むけの新規定が含まれます:
○総務省告示第 号
電波法施行規則(昭和二十五年電波監理委員会規則第十四号)第三十四条の十の規定に基づき、アマチュア局の無線設備の操作をその操作ができる資格を有する無線従事者以外の者が行う場合の条件を次のとおり定める。
なお、平成十四年総務省告示第百五十四号(電波法施行規則第三十四条の十の規定に基づく臨時に条件を定める件)及び令和二年総務省告示第百五十一号(電波法施行規則の規定により臨時に開設するアマチュア局の無線設備の操作を行う場合の開設するアマチュア局の無線設備の操作を行う場合の条件を定める件)は、廃止する。

令和 年 月 日
総務大臣 武田良太

電波法施行規則第三十四条の十の規定に基づき、アマチュア局の無線設備の操作をその操作ができる資格を有する無線従事者以外の者が行う場合の条件は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ当該各号に定めるとおりとする。
一 臨時に開設するアマチュア局の無線設備の操作をその操作の資格を有する無線従事者の指揮の下に、当該無線設備の操作を行う場合

1 無線技術に対する理解と関心を深めることを目的として社団が臨時に開設するアマチュア局
(一)当該操作に立ち会う無線従事者が行うことができる無線設備の操作(モールス符号を送り、又は受ける無線電信の操作を除く。)の範囲内であること。

(二)当該操作のうち、連絡の設定及び終了に関する通信操作については当該操作に立ち会う無線従事者が行うこと。

2 国際宇宙基地に開設されたアマチュア局と通信を行うことによって科学技術に対する理解と関心を深めることを目的として社団が臨時に開設するアマチュア局

(一)当該アマチュア局は、アメリカ航空宇宙局が承認した組織により当該通信に係る日時等が割り当てられており、当該通信を行うことに関して教育に資するものとして教育委員会等の後援、推薦等を受けていること。

(二)当該操作を行う者は、学齢児童生徒(学校教育法( 昭和二十二年法律第二十六号) 第十八条に規定する学齢児童及び学齢生徒をいう。以下同じ。)であること。

(三)当該操作に立ち会う無線従事者は、第一級総合無線通信士、第二級総合無線通信士、第三級総合無線通信士、第一級アマチュア無線技士又は第二級アマチュア無線技士であること。

(四)当該操作に立ち会う無線従事者が行うことができる無線設備の操作(モールス符号を送り、又は受ける無線電信の操作を除く。)の範囲内であること。

(五)当該操作のうち、連絡の設定及び終了に関する通信操作については当該操作に立ち会う無線従事者が行うこと。


二 家庭内その他これに準ずる限られた範囲内においてアマチュア局の無線設備の操作をその操作ができる資格を有する無線従事者の指揮の下に、当該無線設備の操作を行う場合

1 科学技術に対する理解と関心を深めることを目的として行われるものであること。

2 当該アマチュア局は、立ち会う無線従事者が開設するもの(社団を除く。ただし、同一の学校(4(三)に規定するものをいう。)に属する学齢児童生徒及び4(三)に掲げる者を構成員とするものは、この限りでない。)であること。

3 当該操作を行う者は、学齢児童生徒であること。

4 当該操作に立ち会う無線従事者は、次に掲げるいずれかのものであること。
(一)当該操作を行う者の保護者(親権を行う者、未成年後見人その他の者で、当該操作を行う者を現に監護する者をいう。)

(二)当該操作を行う者の三親等内の親族(婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者及び当該事情にある者の親族を含む。)

(三)当該操作を行う者が在学している学校(学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条員及び職員の学校、同法第百二十四条の専修学校及び同法第百三十四条第一項の各種学校をいう。)の教員及び職員

5 当該操作に立ち会う無線従事者が行うことができる無線設備の操作(モールス符号を送り、又は受ける無線電信の操作を除く。)の範囲内であること。

6 当該操作のうち、連絡の設定及び終了に関する通信操作については当該操作に立ち会う無線従事者が行うこと。

附則 この告示は、公布の日から施行する。

従来どおり――
・体験局(「一」の「1」)は年齢制限はなし
・ARISS局(「一」の「2」)は小中学生のみ
――です(註.「有資格の高校生」も,ARISSスクールコンタクト自体は可).

今回,これらにくわえて,家庭内など・学校での既存局の操作が常時可能になります(「二」).
個人局が前提ですが,通学する学校の社団局の操作も許されます.

すべての場合において,有資格者の立ち会いは必須です.

この記事へのコメント

JO1EUJ 高橋
2020年10月16日 06:56
私の分析は、従来簡易無線でやっている通信を
アマチュア無線でも条件付きで認めることになるから、
電波法施行規則第3条第15号(アマチュア業務)、
第16号(簡易無線業務)が改正されるわけです。

簡易無線(特に登録型デジ簡)ではアマチュア無線風の通信が
おこなわれていますが、これは杓子定規な解釈では禁止事項なのです。
ところが、実態はアマチュア無線風通信は容認されていますよね。
(それが原因で、仕事で無線が必要な方々と、フリラ愛好家の
間でのチャンネルの取り合いなども起きている)

簡易無線業務の定義から
「「アマチュア業務に該当するものは除く」を削除する」
は、デジ簡の実態に合わせたものになるわけですし、
さらにはアマチュア業務の定義を改正するので、
齟齬を無くすためのアマチュア業務の定義改正ということです。
JF1TEU
2020年10月19日 09:34
『「社会貢献のため」「公共団体による実施なら」という定義』があるにせよ、こんなに「アマチュア業務」をユルユルな運用とするのは何故なのでしょうか。将来、アマチュア無線自らの存在が希薄になるのではないかとおもいます。
アマチュア無線のU/VHFバンド中が「業務無線」と見まごうばかりの交信で埋め尽くされるでしょう。
飴をあたえるなら、しっかりと鞭でお灸をすえるようにして欲しいです。