パブコメ募集(2):無資格者の利用機会の拡大

「第三者通信」ですが,いつでもどこでも というわけにはいかず,
・公共性のある行事で
・そのための専用の局を立てなさい
――となりました.以下,思う点.長文御免.


呼び方問題

今回の新制度で,「臨時局」が二つに:
・国際宇宙基地に開設されたアマチュア局と通信を行うために
 臨時に開設するアマチュア局
・無線技術に対する理解と関心を深めるため社団が行事等の開催に伴い
 臨時に開設するアマチュア局

...とりあえず,以下で世間の様子を見ます:
・前者 … ARISS臨時局
・後者 … 体験臨時局

根拠:
総務省の『アマチュア局の制度整備の概要』の「目的」から引用しました:20190119taiken.jpg
なお俗に言う/ここで言う「ARISS」は,「ARISSスクールコンタクト」が正式名称です.


設備共用

『別添8』(電波法関係審査基準)関連.
体験臨時局用に専用のリグを用意すればベストなのでしょうが,設備共用もできます.従来のルールが緩和されます:
無線設備の設備共用は、次によること。
(1) 設備共用は、次の各条件に適合するものであること。
 ア 固定した局は、設置場所(移動する局にあっては常置場所)が同一であること。
 イ 設備共用しようとする者は、当該設備共用を受ける免許人からの「承諾書」を提出すること。
 ウ 設備共用する無線設備は、当該設備共用する者が操作できるものであること。

(2) 社団局同士(無線技術に対する理解と関心を深めるため社団が行事の開催に伴い臨時に開設するアマチュア局は除く)の設備共用及び固定する局と移動する局の設備共用は認めない。

(3) 設備共用する場合には、無線局事項書及び工事設計書の「参考事項」欄に設備共用する無線局の免許人名、免許番号及び呼出符号を記載すること。
〔別紙1 無線局の局種別審査基準 第15 アマチュア局 19〕

では「社団局」絡みの設備共用について,絵解きにて.20200119patterns.jpg
(1) 個人局のリグを社団局で
これOK.
とあるクラブの「会長の個人局のリグ」を,クラブ局としても使えるようにする――ような場合です.

  設/常置場所が同じでないとダメです.
  よってたとえば,
  「記念局やりたい人~,登録するから自分のリグ言って~♪」
  ――は,ダメ.
  各自の工事設計から一旦外して浮かし,
  記念局専用の扱いにしないとなりません.

(2) 社団局相互
ダメ.
その意図は,邪推ですがたとえば,「立憲民主アマチュア無線クラブ」と「国民民主アマチュア無線クラブ」とが設備共用をしたい!と言うのなら,だったらまとめて一つの同じクラブにすれば?――ということではないかと.

近年では,JARLのHQ局の公募に際しても,「社団局同士の設備共用は、認められてませんのでご注意ください。」と明記・念押しされるようになっています.

(3) 社団局と体験臨時局 【新たに規定】
従来,(2)によって「社団局相互」では禁じられていた形が,体験臨時局に関しては解禁に.
(二重免許でもいいから)体験専用に1局立てなさい――という制約を課す中,「社団局と設備共用してもええで」という,お目こぼしでしょう.

(4) 個人局と体験臨時局
当然OK.
体験臨時局⊂社団局.

(5) よだん:個人局のリグを複数の社団局で
禁止規定はどこにもありません.どなたか挑戦を.

...以上において,
・設/常置場所は同じでなければなりません
・「記念局」といえど「社団局」みなしです.


コールサイン

何のお沙汰もありませんから,「通常の社団局」のものを用いるものと拝察します.
その際,
8J・8Nは記念局・ARISS臨時局以外では使えませんから〔識別信号の指定基準〕,「記念局と体験臨時局の併設」の場合には,「8J・8Nコール」「通常コール」とで分かれざるをえません.ここはパブコメで突いてみようか?
今回『識別信号の指定基準』(http://motobayashi.net/kijun/idsignals.html)の改正は示されていません.

:ただし本省決済であれば突破可(地方委任の範囲を超える).

絵解き:20200119callsign.jpg
●QSL転送料問題
現実的な話.
コールサインが別なものになると,QSL転送料が別途発生します.
JARLで体験臨時局むけの減免措置が設けられない限りは.

ARISS臨時局は,「発送だけなら無料」の扱いになっています(受け取りもするなら10,800円/年).


DX通信

第三者によるDXとの通信は,ITUの『無線通信規則(RR)』により原則禁止です.
図(引用)はH16告示975から(WRC-03での改正後の規定):
20190119h16kokuji975.jpg
ようは/例外は,
・非常時 と,
・ナショナルマターとして「やってもいいよ」
という場合だけです.

今回の制度改正だけをもってして,「日本側としては,海外のどの国とも第三者通信していいよ」と解せるのか???
これもパブコメで確認しますかね.

『アマチュア局の制度整備の概要』(『別添9』,p.3)では以下としており,あたかも海外局相手でも問題なさげな素振りではあります:
通信の相手方(アマチュア局全般)

ダメなのであれば,JARLなどとともに,海外から「呼ばれてしまった」場合の対応法を整理しておく必要がありそう.

「8J1RLは海外か?」問題も残っています.


北海道新聞の記事と同件?

『ドローン操縦、条件緩和へ 総務省 有資格者付き添いで初心者も』(2020-01-07)の件です.
「タイミング」からしますと,本件のすっぱ抜きだと思うのですが...
強引かもしれませんが,適合させてみます(下図):20200119doshin.jpg

cf.『<北海道新聞が報道>総務省、ドローンFPVは「有資格者(アマチュア無線技士など)が付き添えば、無資格者でも操縦可能とする」方針』
https://www.hamlife.jp/2020/01/07/drone-kisei-kanwa/


比較:記念局・ARISS臨時局・体験臨時局

「無資格者による運用」視点にて.原文は次項に示します.
「記念局」も,特段大きな行事(オリンピックなど)では,日本の従免を持たない・レシプロ非対象国の「海外の有資格者」に対して運用を許すことがあります.それも含めてまとめます.
俗称記念局臨時局
ARISSスクールコンタクトのために臨時に開設する社団局
(新設)
言い分け案ARISS臨時局体験臨時局
正式名行事等の開催に伴い臨時かつ一時の目的のために運用するアマチュア局国際宇宙基地に開設されたアマチュア局と通信を行うために臨時に開設するアマチュア局無線技術に対する理解と関心を深めることを目的として社団が臨時に開設するアマチュア局
定義H13総務省訓令67 電波法関係審査基準 別紙1 無線局の局種別審査基準 第15 アマチュア局
222324(新設,以降項番繰り下げ)
対象行事政治的・宗教的なものではない
相当の公共性を有する
ARISSスクールコンタクト政治的・宗教的なものではない
相当の公共性を有する
国・地方公共団体・公益的団体が,主催・後援・協賛教育委員会・都道府県知事・市町村長・その他 類する者が,主催・後援・推薦無制限
サポートドキュメント行事の主催者による了解の確認書
(開催地内に設置の場合は)行事の主催者から同意書
NASA関連団体の同意書
立ち会う無線従事者の氏名・従免番号
行事の主催者の同意書
立ち会う無線従事者の氏名・従免番号
従免不要の対象(特段大きな行事では,都度告示の元)レシプロ非対象国の有資格者小中学生年齢制限なし
無資格者の交信相手(特段大きな行事では,都度告示の元)無制限ISS国内(RRによりDXは原則不可
立ち会う指揮者(特段大きな行事では,都度告示の元)制限なし二アマ以上制限なし
操作の範囲~1kW~50W(∵実態144MHz帯で非EME)~1kW
モード無制限実態Phone(FM)CW以外
(特段大きな行事では,都度告示の元)母国で持つ資格,かつ,指揮者のもつ資格指揮者(二アマ以上が条件)のもつ資格指揮者のもつ資格
タイミング無制限通信の設定・終了以外連絡の設定・終了以外
操作無制限PTT操作のみ操作無制限
コールサイン8J・8N8J・8N通常社団局(8J・8N不可)



以下,電波法関係審査基準による3区分の規定原文

無線局の局種別審査基準 第15 アマチュア局 から.

記念局

22 行事等の開催に伴い臨時かつ一時の目的のために運用するアマチュア局
(1) 行事等は、国、地方公共団体又は公益的団体が主催、後援、協賛等をしているものであること。

(2) 行事等の趣旨・内容等は、政治的又は宗教的なものではなく、相当の公共性を有するものであること。

(3) 当該アマチュア局を運用することにより、行事等を記念すること及びその意義を広めることができるものであって、かつ、アマチュア無線に対する理解の増進、アマチュア無線の健全な普及、発展等に寄与できるものであること。

(4) 申請者は、連盟又はアマチュア業務の健全な普及発展を図ることを目的とする社団であって、行事等に密接な関係があるものであること。

(5) 申請者が当該アマチュア局を運用することにより当該行事等を記念すること及 びその意義を広めることについて、行事等の主催者から了解を得ていることが確認 できるものであること。

(6) その運用期間は、行事等の開催期間からみて適当なものであること。

(7) アマチュア局を行事等の開催地内に設置する場合は、当該行事等の主催者からの同意を得ていることが確認できるものであり、必要に応じて書類によりその旨が確認できるものであること。

ARISS臨時局

23 国際宇宙基地に開設されたアマチュア局と通信を行うために臨時に開設するアマチュア局
(1) 次の条件に適合すること。
 ア 申請者は、科学技術に対する理解と関心を深めること及び教育に資することを目的として通信を行おうとする社団であること。
 イ 国際宇宙基地に開設されたアマチュア局と通信を行うことについて、アメリカ航空宇宙局が承認した組織から予定日時等の割当ての同意を得ているものであること。
 ウ 教育委員会又は都道府県知事若しくは市町村長その他これらに類する者が国際宇宙基地に開設されたアマチュア局と通信を行うことについて、教育に資するものとして、自ら主催するもの又は後援、推薦等をしているものであること。
 エ 立ち会う無線従事者が確認できるものであること。
 オ 開設期間は、イの同意内容から見て適当なものであること。

(2) 次に掲げる事項を確認できる書類を申請書に添付するものであること。
 ア 国際宇宙基地に開設されたアマチュア局と通信を行うことについて、アメリカ航空宇宙局が承認した組織から予定日時等の割当ての同意を得ていることを証明する書類
 イ 教育委員会又は都道府県知事若しくは市町村長その他これに類する者が国際宇宙基地に開設されたアマチュア局と通信を行うことについて、教育に資するものとして、自ら主催すること又は後援、推薦等をしていることを証明する書類
 ウ 立ち会う無線従事者の氏名及び無線従事者免許証の番号を記載した書類

体験臨時局 【新規】

24 無線技術に対する理解と関心を深めるため社団が行事等の開催に伴い臨時に開設するアマチュア局
(1) 次の条件に適合すること。
 ア 申請者は、営利を目的とするものでなく、無線技術に対する理解と関心を深めることを目的として通信を行おうとする社団であること。
 イ 行事等の趣旨・内容等は、政治的又は宗教的なものではなく、並びに相当の公共性を有するものであること。
 ウ 無線従事者が立ち会うものであること。
 エ 開設期間は、行事等の開催期間からみて適当なものであること。

(2) 次に掲げる事項を確認できる書類を申請書に添付するものであること。
 ア 立ち会う無線従事者の氏名及び無線従事者免許証の番号を記載した書類
 イ 当該行事等に伴う無線局の開設について主催者の同意を得ていることが確認できる書類

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