従免のサイズの変遷

無線従事者免許証のサイズの変遷についてまとめました.
(またつまらぬものを作ってしまった....)

JARLの資料室は平日しか開いていないので,訪れる機会はなかなかないのですが,ときとして掘り出し物に出会うこともあります.
ここここんなに大きかったんですか?という初期の従免を見せていただいたことがあるのですが,私の知っている初期の従免よりも,さらにでかい.
そこでよくよく調べますと,なるほど.
私――我々...ですよね――のおなじみなサイズ(図中の(4))以前に,3世代あったようです:


また従事者規則で様式の変遷をたどりますと,下図のようにまとめられました:


では,以下詳解です.ご興味のある方はおつきあいください.


■第一世代 150mm×105mm


S25~S29.

●前期バージョン
S25(1950).6.30~S25(1950).11.30.

以下で述べる“後期バージョン”と比べて,表記上の特徴は以下のとおりです:
・有効期間で,「 年 月 日から 年 月 日まで」が,縦一列
・通信士の場合の注記で,RRの「第一級(第二級)証明書」に該当とある

しかし...

まっさきの無線従事者国家試験は
・一次試験 …… S25.8.29~31
・二次試験 …… S25.9.28~30 (←このとき開催の全科目において必須)
でしたから(S25.7.27付公告から),実際は11月中の従免の発給には至っていないでしょう.
つまり,このバージョンの発給は ない はず.

●後期バージョン
S25(1950).12.1~S29(1954).8.31.

前期バージョンと比べて,表記上の特徴は以下のとおりです:
・有効期間で,「 年 月 日から」「 年 月 日まで」が,横二列
・通信士の場合の注記で,RRの「第一級(第二級)無線電信通信士証明書」に該当とある

戦後のアマチュアの再開とほぼ同時に始められたOM(OT)方は,この形の従免を持っておられるはずです.


■第二世代 140mm×75mm


S29(1954).9.1~S33(1958).11.4.

小さくなりました.
また,「表紙は、金文字入」と明記されました.

途中,S30(1955).9.22からは,「通信士」の場合にくわえて,「特殊無線技士の超短波海上無線電話・中短波海上無線電話」の場合にも,注記がなされることになりました.
“注記”とは,「この免許証は国際電気通信条約附属無線通信規則に規定する...」という一文のことです.


■第三世代 130mm×80mm


S33~S43.
S33年に,従事者規則の全改正があったとき以降 です.
電話アマ・電信アマが創設されたのもこのときですし,従免が終身有効になったのもこのときです.

●前期バージョン
S33(1958).11.5~S35(1960).10.3.

「縦書き」になっているものです.

●後期バージョン
S35(1960).10.4~S43(1968).5.19.

「横書き」になっているものです.

『特殊無線技士 無線電話甲』の場合に限ってはさらにバージョンが細分化され,注記のRRの参照先が,
・「第548号」 となっているもの (S35(1960).10.4~S36(1961).5.30)
・「第903号」 となっているもの (S36(1961).6.1~S43(1968).5.19)
の二つがあります.


■第四世代 115mm×70mm


S43~H22.
特殊・アマチュアの従免が“パウチ”になる前の,おそらくみなさんおなじみの形です.

●バージョン1
S43(1968).5.20~S46(1971).11.30.

全資格共通で,表裏の表紙のほかに,4ページありました.
第三世代のものと比べて,通信士の場合でも,表紙の英文がなくなりました(開けば英文の併記あり).

●バージョン2
S46(1971).12.1~S49(1974).12.31.

「通信士」と「それ以外」とで様式が分離され,アマチュアは「それ以外」のほうに含まれました:
・通信士用【厚い版】 …… 表裏の表紙のほかに,4ページあり
・それ以外【薄い版】 …… 表裏の表紙があって,その内側への印刷のみ

●バージョン3
S50(1975).1.1~S58(1983).4.29.

まず【厚い版】【薄い版】に共通で,
・「資格」の記載位置が変更され,「写真の下」から「写真の上」に移りました.

・一部の印刷が削除されています:
 - 免許証の番号 の 「第 号」
 - 免許の年月日 の 「 年 月 日」

そして【薄い版】の一部の話ですが,
特殊・電信アマ・電話アマは,発行が「地方電波監理局長」名になりました.
私事ながら初めて手にした従免(電話アマ)が,まさにこれです.

おって通信士用の【厚い版】については――
S58(1983).4.1から注記の変更がありました.

●バージョン4
S58(1983).4.30~H22(2010).3.31 (特殊・アマチュアの場合は ~S58(1983).9.30).

【厚い版】【薄い版】とも,省令の改題に対応し,以下の点が変更になっています:
・(旧) 左の者は,無線従事者国家試験及び免許規則により,...
・(新) 左の者は,無線従事者規則により,...

S58(1983)年,特殊とアマチュアは“パウチ”に離脱しますが,それ以降もそれ以外の資格では,この様式を使い続けました.

以降――

【厚い版】では...

H2(1990).5.1~
注記の変更がありました.

  このとき,従事者規則が全改正されています.
  例: 電信アマ→三アマ, 電話アマ→四アマ.
  しかし,
  ・技術士用の【薄い版】
  ・特殊・アマチュア用の【ラミネート加工版】
  の様式には,変更はありませんでした.

H2(1990).11.21~
注記の変更がありました.

H9(1997).1.1~
注記の変更がありました.
RRの枕詞が,「国際電気通信条約附属」→「国際電気通信連合憲章に規定する」になりました.


【厚い版】【薄い版】共通で...
H13(2001).1.6~
「郵政大臣」→「総務大臣」,「電気通信監理局長」→「総合通信局長」になりました.


■第五世代 59mm×89mm


S58~H22.
特殊・アマチュアに限り,従免がラミネート加工になりました.

●バージョン1
S58(1983).10.1~S60(1985).3.31.

「電波監理局長」名になっているものです.

●バージョン2
S60(1985).4.1~H2(1990).4.30.

「電気通信監理局長」名になったものです.
ただし,一アマ・二アマの場合には「郵政大臣」名ですから,“バージョン1”時代との相違はありません.

●バージョン3
H2(1990).5.1~H2(1990).11.20.

「電信アマ→三アマ」「電話アマ→四アマ」と変更になったあとのものです.
ただし,一アマ・二アマの場合には,変更がありません.

●バージョン4
H2(1990).11.21~H13(2001).1.5.

微妙な表記の変更がありました:
・「生年月日  年 月 日生」→「 年 月 日生」
・「免許証番号」→「免許証番号」
・「免許年月日」→「免許年月日」
・「上の者」→「上の者」

『一海特』については――

H2(1990).11.21~
同じサイズで『一海特』専用の 2枚組 の様式が制定され,H20(2008).3.31 まで用いられました.
(ラミネート加工されたのは1枚目だけだったようです.)
それ以降は,通信士用の【厚い版】の様式が,『一海特』も巻き取りました.

H9(1997).1.1~
注記でRRの枕詞が「国際電気通信条約附属」→「国際電気通信連合憲章に規定する」になりました.
前出の通信士の場合と同じです.

●バージョン5
H13(2001).1.6~H22(2010).3.31.

「電気通信監理局長」→「総合通信局長」 となりました.
一アマ・二アマについては「郵政大臣」→「総務大臣」 となりました.


■第六世代 54mm×85mm


H22(2010).4.1~.

クレジットカードサイズとなりました.


最後までお読みくださいまして,たいへんありがとうございました.
JJ1WTLはJARL臨時社員選挙(関東)に立候補させていただいています.
理念などは別途お伝えします.
よろしくお願いいたします.

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